平成28年度宅建試験関連法改正点

 

■法令制限

【都市計画法】

都市計画法52条において、「開発許可等の処分の取消しの訴え(一定の訴えを除きます)は、当該処分についての審査請求に対する開発審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。」と規定されていましたが、この規定がなくなりました。従って、開発審査会の裁決を経ることなく取消訴訟が可能になりました。

 

【国土利用計画法】

土地に関する権利の移転等の許可に基づく処分の取消の訴えは、当該処分についての審査請求に対する土地利用審査会の裁決を経た後でなければ提起することができない、という規定がなくなりました。

 

【建築基準法】

(1)建築確認

平成27年6月1日以降に構造計算適合性判定を要する建築物の構造計算適合性判定の申請について、建築主事等を通して判定依頼を行っていた構造計算適合性判定機関への申請を、建築主が構造計算適合性判定機関へ直接申請することとなりました。

また、構造計算適合性判定は独立の行政処分となるため、建築主は、都道府県知事または指定構造計算適合性判定機関の処分に不服がある場合、都道府県の建築審査会に対して審査請求ができるようになりました。

 

(2)用途制限

近隣商業、工業地域内に建築できない建築物として規定されていたキャバレー、料理店、ナイトクラブ、ダンスホールから、ダンスホールが削除されました。

 

(3)容積率

建築物の地階でその天井が地盤面からの高さ1m以下にあるものの住宅または老人ホーム等の用途に供する部分の床面積については、その建築物の住宅の用途に供する部分の床面積の合計の3分の1まで、延べ面積に算入しないことになり、老人ホームや福祉ホーム等における地下室の容積率の特例が適用されることになりました。

 

(4)審査請求

建築基準法96条において、「建築基準法令の規定による処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する建築審査会の裁決を経た後でなければ、提起することができない。」と規定されていましたが、この規定がなくなりました。従って、開発審査会の裁決を経ることなく取消訴訟が可能になりました。

 

【農地法】

改正前:4条及び5条 → 都道府県知事の許可(面積4ヘクタール超は農林水産大臣の許可)

改正後:4条及び5条 → 都道府県知事の許可。ただし、農地または採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(=指定市町村)の区域内にあっては指定市町村の長の許可。

 

農地法4条及び5条の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定める事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出することになりました。

農業委員会は、当該申請書に意見を付して都道府県知事等に送付しなければならなりません。

そして、農業委員会が意見を述べる場合、

30アールを超える農地の転用 については、 原則として都道府県機構の意見が必要。

30アール以下の農地の転用 については、 必要があれば都道府県機構の意見を聴くことができるとされました。

 

また、指定市町村内にある指定市町村が、農地法4条及び5条の許可が必要となる行為をする場合、指定市町村と指定市町村長との協議が成立することをもって、4条及び5条の許可があったものとみなされます。

 

■税法

【固定資産税】

  • 耐震改修を行った既存住宅に係る減額特例

昭和57年1月1日以前から存在していた住宅について耐震改修を行った場合、床面積120㎡を限度に、税額が1/2に減額されます。

(2)バリアフリー改修を行った住宅に係る減額特例

新築された日から10年以上経過した住宅についてバリアフリー改修工事を行った場合、床面積100㎡を限度に改修後の床面積50㎡以上を要件として、税額が1/3に減額されます。

(3)省エネ改修を行った住宅に係る減額特例

平成20年1月1日以前から存在していた住宅について、床面積120㎡を限度に改修後の床面積50㎡以上を要件として、税額が1/3に減額されます。

 

 

【所得税(空き家を譲渡した場合の3,000万円特別控除)】

相続時から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む。)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除します。

特例の対象となる家屋の適用要件は、以下のとおりです。

  • 相続開始の直前において被相続人が居住していたものであること
  • 相続開始の直前において当該被相続人以外に居住していた者がいなかったものであること
  • 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること(区分所有建物を除く)
  • 相続時から譲渡時まで事業用、貸付用、又は居住用として使用されていたことがないこと
  • 譲渡価額が1億円以下であること
  • 家屋を譲渡する場合、当該譲渡時において家屋が現行の耐震基準に適合していること

 

なお、「空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除」は「自己居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除」または「買換え特例」のいずれかと併用することができます。

 

■その他の分野

【不当景品類及び不当表示防止法】

優良誤認表示・有利誤認表示(課徴金対象行為)をした事業者に対して、原則、課徴金が課せられることになりました。課徴金の金額は、課徴金対象行為をした期間(最長3年)における課徴金対象行為に係る商品・役務の政令で定める方法により算定した売上額の3%です。